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ベジボン

403 :1/3 :2009/02/15(日) 06:12:10 ID:BsjDv3uE0
学生時代、鳥山明の漫画に出てきそうな顔の友達がいた。
丁度当てはまるキャラはいないのだが、あえて言うならベジータ+ザーボンかな。

入学当初、親睦を深める為に、同じ科の奴ら数人と飲み会をやったんだ。
場所は、大学の近くに一人暮らししていたベジータ+ザーボンのアパートに即決定。
女の子も何人か呼んで、エロチックなハプニングにwktkしながら買い出しとか行ったw

酒も進んできた頃、お決まりのパターンで怪談話の流れになった。
よくある怪談話や体験談が進むにつれ、このベジータ+ザーボンがトンでもない霊感持ちってことが発覚したのよ。
この時期はどこに行っても霊感持ちなヤツと出会う事が多かった。
今思うと、オカルト方面での待遇は生涯で一番良かったかも知れないw
多分、誰が見ても『こいつは本物だ』と思うと思う。
俺自身も心霊話は大好きで、
あちこちで聞いてきてストックしてあった話の中でも、激選した物をぶち撒けたつもりだったが、
ベジボンの(本来オチが付きにくい筈の)体験話には尽く敵わなかった。
女の子がいる手前、最初は俺も対抗してたと思う。
でも次第に対抗心は無くなり、素直に聞き入る様になってしまった。

非常に盛り上がっていたのだが、ベジボンが急に話に参加してこなくなった。
俺が密かに「どうした、大丈夫?」みたいな事を聞くと、
「そろそろヤバイよね」と、はにかみながら言われた。
ああ、心霊話をしていると幽霊が集まりやすいと言うモンなぁ…と、
ベジボンの言いたい事を理解したつもりでいた時に事は起こった。


404 :2/3 :2009/02/15(日) 06:13:09 ID:BsjDv3uE0
「ベランダに知らないおっさんがいる」
どこにでもいると思う。ちょっと空気読めないヤツっているじゃない?
そのちょっと困ったちゃんなヤツが、笑いながらいきなりこう言い出したんだ。
ちょっとだけ顔が石田壱成に似た奴だったので、ここでは仮名として壱成とする。
外を見る。暗い。時間は1時か2時位だったと思う。
まだ明るい内から飲んでたので、カーテンはしいてなかった。
そのガラスの向こうに…いた。
丁度左肩がこちらに一番近い形で、向こうを向いたおっさんが立っている。
やけに猫背で、ぴくりとも動かない人間がベランダに立っている。
ベジボンの部屋は2階。人が立っている訳が無い。
仮にイタズラとしても、何の得があって…と言うか、その佇まいが、生きてる普通の人間のそれでは無いんだよね。
さっきまでの盛り上がりは既に無く、皆真っ青な顔をして…
終いには、すすり泣きし始める女の子まで出てくる始末。

暫くすると、そのおっさんがいつの間にかいなくなっていた。
ベジボンいわく、数時間前からそのおっさんはいたらしいのだが、
突っ立ったまま1階と2階とを上昇・下降を繰り返していたらしい。
ベランダの床をすり抜ける様にして。そのままの姿勢で。
そして最後に、「昨日まではいなかった人なんだけどね、何もしなければ実害は無いと思うよ」と付け加えた。
ちょ、ベジボンさん、その言い方他にもいるんすかw

もう楽しい飲み会をやる様な場では無くなってしまった。
俺も冷静に周りを見てる様な書き方をしてはいるが、正直ガクブルで、
早く暖かい所に行きたい様な気分でいっぱいだった。


405 :3/3 :2009/02/15(日) 06:14:30 ID:BsjDv3uE0
でもね、またいるんだよ。そのおっさん。
どうやら、さっきのベジボンの言う事は本当らしい。別に疑ってはいなかったが。
そこで何を思ったか、殆どヘベレケ状態だった壱成が立ち上がって、
「オラァ!テメェさっきから何なんだよ!!」と、おっさんに向かって怒鳴りながら向かって行った。
普段なら『何コイツwマジ勘弁して欲しいんですけどww』と笑って見ていられるのだが、状況が状況である。
取りあえず壱成を止めようと、立ち上がろうとした時に見てしまった。
おっさんがこっちを向こうとして、ゆっくりと回転してるのよ。
『回転』と書いたのは、その動きが人間や動物の動きではなく、
まるでカラクリ人形や、電気仕掛けの玩具みたいな動き方だったから。
そこで俺の恐怖度MAXですよ。
行き過ぎた恐怖と、壱成に対する『ちょ、お前何やってんの』が、絶妙に最高の状態で混ぜ合わさったのかな。
キレたwもうね、完全にキレた。
無我夢中で壱成を掴んで倒して蹴り入れてたと思う。周りの奴らに速攻で止められたがw

その後、いつの間にかおっさんはいなくなってた。
で、壱成に謝りまくった。ちょっと泣いてたな、あいつw
いや、俺も男だからケンカ位した事あるけど、基本穏健派だからむやみに人殴ったりしないんだけど。
真夜中に暴れたせいで隣の部屋の人からは怒られたが、ベジボンにはちょっとだけ褒められたw
「あのまま壱成を放っておいたら、どうなったか分からない。お前がやらなかったら、俺がやってたと思う」と。

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