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白い服の女の子

116 :名無しさん@こぴぺ:2000/08/05(土) 06:49
当時、私は精神的に荒んでいて、よく大型バイクをかっ飛ばしたりしていました。
その日もバイクで走っていたのですが、広めの幹線道路は渋滞していました。
そこで、道の左端をすり抜けて進みました。
それなりに運転技術もありましたし、どうなってもいいや、という部分があったので、
危険だと知りながら、それなりのスピードが出ていました。
そして、渋滞している車が途切れている所へ来た時に、
対向車線からファミレスに右折する車に、右側から当てられたのです。
車も急いで右折してスピードがあった為、かなりの衝撃でした。
今にして思えば、一瞬のことでしたが、妙なスローモーションを見ている様な感じで、
バイクに乗ったまま、私は電柱が正面に迫ってくるのが見えました。
その時、何か白いものが横から飛びかかってきて、私はそれに抱きつかれる様な感じでバイクから落ちて、
道の脇にある歩道に転がりました。
転がるのが止まって、歩道に仰向けになっていると、その白いものは私の体から離れました。
それは、白い服を着た女の子でした。
その女の子は、ふぅ、とため息を一つつくと、「あぶなかったね」と微笑みました。そしてスッと消えました。

そして、私があまりの事に呆然としていると、肩を軽く叩かれ、
耳元で「あまり無茶をしちゃダメよ」という声がしました。
でも、振り返っても姿はなく・・・
そうしているうちに、ぶつかった車の人が降りてきて、救急車が来て、病院に運ばれて・・・と。

私は、足に軽い打撲があっただけで、ほとんど無傷でした。
事故の大きさと比べると、奇跡的といっていいぐらいに。
私のバイクは電信柱にぶつかり、グチャグチャに壊れていました。

後に警察に事情聴取に行った時、
警官が「よく、バイクから飛び降りられたな。そのまま突っ込んで、悲惨なことが多いんだが・・・」と。

私は、飛びついてきた、白い服の女の子を知っていました。
その事故の三年ぐらい前に交通事故で亡くなった、私の婚約者だったのです。
病院で息を引き取る時の最後の言葉。
「愛している、ずっと見守ってる」
その事が鮮明に思い出されました。

実際のところ、私が見たのは幻覚なのかもしれません。
でも、事故の時に来ていた皮のジャケットが警察から戻ってきた時、
歩道と擦れて傷だらけになった背中の部分に、
細い腕と小さい手の形で、無傷の部分がくっきりと残っていました。

彼女を失って、自暴自棄になっていたのが続いていたのですが、
その事故があってから、ちゃんと前向きに生きなければ、と。
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